5.4 安全な運航のための意思決定態勢(CRM等の理解)|無人航空機の飛行の安全に関する教則
令和4年9月5日に国土交通省から公開された「無人航空機の飛行の安全に関する教則」の内容について備忘録として挙げています。
以下の内容は全て国土交通省航空局「無人航空機の飛行の安全に関する教則」から引用しています。
5.4 安全な運航のための意思決定態勢(CRM等の理解)
5.4.1 CRM(Crew Resource Management)
事故等の防止のためには、操縦技量(テクニカルスキル)の向上は有効な対策だが、これだけでは人間の特性や能力の限界(ヒューマンファクター)の観点からヒューマンエラーを完全になくすことは出来ない。これに対処するためには、全ての利用可能な人的リソース、ハードウェア及び情報を活用した「CRM(Crew Resource Mnagement)」というマネジメント手法が効果的である。
CRMを実現するために「TEM(Threat and Error Management)」という手法が取り入れられている。ここで「スレット(Threat)」は「エラー(Error)」を誘発する要因であり、操縦者だけではスレットやエラーの発生状況を把握することが困難な場合があり、この場合適切な対処が取れず事故等につながるおそれがある。このため、補助者や関係者との相互監視・確認、機体や送信機の警報、飛行空域周辺状況に関する最新情報の入手など、全ての利用可能なリソースを活用し、エラーにつながりかねないスレット(気象の変化、疲労、機材不具合など)の発生状況を早期に把握・管理し、万一エラーが発生しても事故等に至らないように適切に対処しようとする手法である。
CRMを効果的に機能させるための能力は、状況認識、意思決定、ワークロード管理、チームの体制構築、コミュニケーションといったノンテクニカルスキルである。
5.4.2 安全な運航のための補助者の必要性、役割及び配置
無人航空機を飛行させる操縦者は機体の動きや操縦に集中する必要があり、離着陸エリアを含めた飛行経路の管理を操縦と同時に行うことが困難であるため、飛行準備や飛行経路の安全管理、第三者の立入管理などは補助者が主として行う必要がある。補助者は、離着陸場所や飛行経路周辺の地上や空域の安全確認を行うほか、飛行前の事前確認で明らかになった障害物等の対処について手順に従い作業を行う。
操縦者とのコミュニケーションは予め決められた手段を用いて行い、危険予知の警告や緊急着陸地点への誘導、着陸後の機体の回収や安全点検の補助も行う。
無人航空機の飛行経路や範囲に応じ補助者の数や配置、各人の担当範囲や役割、異常運航時の対応補法も決めておく必要がある。