果実盗難抑止のためのドローン運用実証実験を実施
空撮や調査、産業機運用を中心にドローン運用業務を事業展開する株式会社ヘキサメディア(本社 埼玉県川口市:代表取締役 野口克也)は、令和3年6月28日、29日に山梨県甲州市(市長 鈴木幹夫)とJAフルーツ山梨(組合長 中澤昭)協力のもと、果実盗難抑止のためのドローン運用実証実験を行いました。
【盗難の実情と背景】
山梨県は、ぶどうや桃の生産量全国第一位であり、白桃やシャインマスカット(ぶどう)は全国的にも大変人気を博しています。
そのため、その盗難件数も年々増加をしており、市内において昨年も高級品種を筆頭に少なくとも約200万円の被害が出ています。
盗難の被害が出ても、被害総額が大規模でない限り、果樹農家は警察に被害届を出すことができません。
なぜなら、盗難が多発する時期と出荷繁忙期が重なり、警察への被害届の対応をする時間が取れないため、泣き寝入りを余儀なくされる果樹農家が多いからです。
そこで、「ドローンを活用して盗難抑止のための農園監視ができないか」と問題提起をし、具体的には、
- 赤外線カメラによる不審者及び不審車両の発見
- 暗視カメラ撮影による不審者及び不審車両の発見
- 強光スポットライト+可視カメラによる不審者及び不審車両の特定
の検証を行いました。
【実証実験概要】
実施日時 : 令和3年6月28日(月)・29日(火)
実施場所 : 山梨県甲州市塩山大藤地区「らくらく農園」
実験内容 :
1. 赤外線カメラによる不審者及び不審車両の発見
高度約50メートルより撮影を実施。不審者役を特定することができ、桃の木に手を伸ばしている様子や、籠に桃を摘み取っている様子など、不審な動きを撮影することができました。
また、車両の特徴や様子も捉えることができ、不審者及び不審車両の特定に役立つ可能性が高いと思われます。
2. 暗視カメラ撮影による不審者及び不審車両の発見
赤外線スポットライトと組み合わせて撮影することで、赤外線カメラ同様、不審者役の動きや車両の様子は撮影することができました。
(赤外線スポットライトの点灯は目視では確認することはできません。)
※ 暗視カメラは飛行せずに地上での撮影実施
3. 強光スポットライト+可視カメラによる不審者及び不審車両の特定
本来夜間での可視カメラ撮影は、照明がないと全く撮影できませんが、同一のカメラで赤外線と可視を切り替えて撮影が可能です。
撮影映像では車両の荷台の状況が確認できました。夜間で周辺に照明がなくても、スポットライトによる車種や車両ナンバー、不審者の性別等多くの情報を得られる可能性が高いです。
※ 強光スポットライトは飛行せずに地上での撮影実施
【実証実験結果と今後の展開】
今回の実証実験では、約50メートル上空の⾚外線カメラによる撮影で不審役の様⼦を把握することができました。
暗視カメラ・強光スポットライトの撮影は、地上での実施となったため、次回のぶどう園実証実験では、それらを飛行させて検証を行う予定です。
ぶどう棚上空からの⾚外線カメラで適切な⾓度と⾼度の組み合わせも検証し、さらに地形追従の自動航行テストも実施予定です。より実践的な盗難抑止のためのドローン運用事業化実現に向けてさらに検証を行います。
甲州市役所農林振興課ご担当者の笹本様より、「自動航行で広範囲を監視できるドローンの可能性は大きい。費用対効果を考慮し、事業化できるか考えていきたい。」とのお言葉をいただきました。